フェーズドアレイ超音波探傷検査(PAUT)でオーステナイト系ステンレス鋼溶接部の内部欠陥の検出が可能です!

 多くの産業分野で使用されているオーステナイト系ステンレス鋼の溶接部は、溶接金属の凝固過程で一定方向に結晶が成長するため、粗大な柱状晶組織となります。通常の超音波探傷検査(UT)ではこの粗大な柱状晶組織が超音波を散乱や減衰させるため、内部欠陥を精度よく検出することは困難です。
 弊社では、横波超音波と比較して柱状晶組織での減衰、散乱の少ない縦波超音波を用いたフェーズドアレイ超音波探傷検査(Phased Array Ultrasonic Testing , 以下PAUTと略す)を実施することにより高精度に欠陥の検出が可能です。ただし、PAUTの欠陥検出精度は溶接条件や板厚などの影響を受けますので、ステンレス鋼溶接部の内部検査にお困りの際は、まずは弊社にご相談ください。

 以下に、模擬欠陥を持つオーステナイト系ステンレス鋼溶接試験片にPAUTを実施した事例を紹介します。

 溶接部表面から約15mmの位置に、溶接方向にΦ1mmの模擬欠陥を加工したオーステナイト系ステンレス鋼横穴試験片(図1)を作成し、横波超音波および縦波超音波それぞれを用いたPAUTを実施し、模擬欠陥を検出可能か確認しました。
 その結果、横波超音波では欠陥を検出できず、一方、縦波超音波では欠陥を検出可能でした。縦波超音波は直進性が保たれやすく、粗大組織でもビームの広がりや屈曲が少ないため、オーステナイト系ステンレス鋼溶接部の内部調査に有効なことが分かります。

 さらに内部の欠陥について詳細を知りたい場合は、弊社ではX線CT撮影(コンピュータ断層撮影)検査も承っております。人間を対象にするCTと同様の原理で欠陥の位置や形状をより正確に把握でき、微細な欠陥の検出や複雑な内部の確認も可能になります。まずはお気軽にご相談ください。


 

弊社検査技術と、経験豊富な技術者の知見によりお客様の困り事にお応えいたします。
オーステナイト系ステンレス鋼溶接部の非破壊検査はぜひ弊社にご相談下さい。

検査実績
PAUT検査実績
ステンレス鋼製ガスタンクの溶接部検査、軸部品や構造物の割れ検査、隅肉溶接部の内部欠陥検査
橋梁ボルト・アンカーボルトの腐食検査(ボルトを抜かなくても検査可能です。)

X線CT撮影検査実績
機械部品のクラック検査、アルミ鋳物の引け巣検査、熱交換器部品の腐食検査
機械部品の内部流体漏れ経路検査、構造物の隅肉溶接部内部検査